背骨の病気の救世主となるの?再生医療と人工臓器って何だろう?

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人間の体の組織は、たいていの場合、切り傷ができても時間とともに傷がくつつき、治ってきますよね。組織が再生するわけです。肝臓だって、ちょっと壊れた程度なら、元に戻ってくきます。

たとえが悪いかもしれませんが、トカゲのシッポのように「再生」は人間の体のいろんなところで起きています。でも、心臓や脳や脊髄といった一番大切な臓器は神様が「再生」というものを許してくれませんでした。

ですから、脳卒中で不自由になってしまった手足は、なかなか元に戻らないように、脊髄も傷がつくと戻りません。

説明している通り腰椎より頭側の脊椎では中に入っているのが脊髄です。これは傷がついたら今の段階ではもうそのままです。手術をしても、どんな薬を使っても、この傷は戻りません。 つまり脊髄に傷がつく病気の場合には、治療(手術など)を先延ばしにすると、元には戻らないのです。

一方、脊髄から出る神経には再生があります。腰椎の下の方に入っているのは脊髄から伸びた「馬尾神経」と呼ばれる神経ですから、腰椎の病気でこの神経に圧迫があるのに、仮に治療を先延ばしにした場合、後で原因が除去されれば、時にしびれや痛みが出ることがあったとしても、多くの機能が再生によって戻ってきます。

 

このように、腰椎の中の神経と頚椎の中の脊髄の病気では、基本的に大きく考え方が異なることを理解しましょう。ただしこの状況も最近になって大きく変わってきました。実はここ20年ぐらいで華々しく進歩している脊髄再生医療が、神が創った掟にいよいよ手をかけ始めたのです。

 

どんどん研究が進む再生医療

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目的を持った細胞へ分化して増殖していく可能性を持つ、いろいろな細胞や物質などが再生医療として研究されています。壊れてしまった状態 (脊髄損傷など) の脊髄に自分の鼻の粘膜の細胞を植えると 後になって脊髄の機能が一部戻るということがわかってきています。

世界より少し遅ればせながら 日本でも研究が行われ始めました。最近はヒト胚性幹細胞細胞と新型万能細胞が注目されて、ぐっと研究も進んできています。

実際には、この再生移植に関しては動物でうまくいっても人間には当てはまらないことかあるなど 、まだ越えなくてはいけよいハードルが多々あります。最近では 動物実験の世界からの応用に限界かあるので もはや人間にいきなり応用してしまうという試みもみられます。

 

日本でこの分野の臨床研究が遅れた原因の一つには倫理観など、そのあたりの影響があったのではないかと思いますが、ある国ではどんどんと実地されてデータが蓄積されつつあります。